コロナ禍の緊急事態宣言で、テレワークへと移行した企業も多くありましたが、緊急事態宣言の解除後には通常の勤務に戻っている企業が多く見受けられます。
一度目の緊急事態宣言は2020年4月7日〜5月25日でしたが、その後の東京商工リサーチのアンケート調査では、リモートワークを実施した企業は、大企業は83.0%が実施したのに対し、中小企業は51.2%と企業規模で開きがみられました。
緊急事態宣言の解除後は、在宅勤務・リモートワークを実施していた企業で、解除後も「実施」の企業は68.4%にとどまり、3割を超える企業が取りやめています。
また、東京商工会議所の2021年11月における「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」結果によると、東京23区内中小企業のテレワーク実施率は31.2%となっています。
2021年8月の緊急事態宣言期間中に調査した実施率から比べ、8.7ポイント減少する結果となっています。
中小企業では、緊急事態宣言が出されるとテレワークを実施し、解除されると同時に取りやめる企業が増えるという傾向が見てとれます。
取り止めている企業の理由としては、緊急事態宣言の解除をきっかけにテレワークを廃止した。業務効率が低下しておりテレワークを取りやめた。などの声が聞かれます。
また、セキュリティーの確保が難しかったことやテレワークのシステムを使いこなせない社員が多く浸透しなかったことなども理由にあがります。
過去新型コロナウイルス感染拡大以降(2020年3月以降)テレワークを一度も実施したことない企業は61.1%
東京商工会議所のアンケートによると、過去一度もテレワークを実施したことのない企業は61.1%となります。その企業の95.7%は「今後も実施する予定はない」と回答しています。
テレワークを実施できない理由としては、テレワークを実施したことのない企業では、「テレワーク可能な業務がない」という答えが最も多くなっています。
また、過去にテレワークを実施したことのある企業では、「社内コミュニケーション」や「業務の生産性低下」が実施しない理由として挙げられました。
企業の規模(従業員数)別では、301人以上が最も高く54.5%、50人以下が最も低く24.2%となり、企業規模が小さい企業ほどテレワークの実施率が低い結果となっています。
業種別では、製造業が最も高く33.8%となった一方、小売業は最も低く14.7%でした。
テレワークを積極的に進めて活用しているのは、やはり大企業やIT企業などで、普通の中小企業はまだハードルが高いようです。
中小企業でテレワークを実現させるためには?
中小企業でテレワークを実現させるためにはどうすればよいでしょうか。
まず、テレワークを導入する上でよく取り上げられる問題には、勤怠管理、セキュリティ、コミュニケーション、導入コスト、社内制度などがあります。
ですが、まず第一関門として立ちはだかるのが、どこから手を付けたらいいか分からない、というところではないでしょうか。
テレワークのツールとしては、よくZOOM、ChatWork、Web会議のためのカメラやマイクなどが話題になります。
ですが、これだけでは仕事は出来ません。
普段から社内のパソコンのExcelなどで資料を作り、電話とFAXがないと仕事にならないという環境では、急に在宅で仕事をしろと行ってもテレワークには対応出来ません。
まず一番に手をつけることは、業務の「クラウド化」です。
業務をクラウド化しよう
業務をクラウド化するためには、まずは個々のパソコンに保存しているデータをクラウド化することが必要です。個人のパソコン内ではなく、クラウド上のスペースに保存することによって、資料などをどこからでも確認できるため、関係者でファイルの共有がしやすくなります。
当社ではGoogle Workspaceを利用していますが、こちらを利用することによって、仕事で使用するすべてのファイルを 1 か所に保存することができ、パソコン、スマートフォン、タブレットから安全にアクセスできます。
また、他のユーザーに、ファイルの閲覧やダウンロード、共同編集を許可できますので、メールにファイルを添付する必要がなくなります。
ファイルの更新内容は自動で保存されされるため、常に最新版にアクセスできます。
Gmail、カレンダー、Meet、Chat、ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、フォーム、サイトなど、リモートワークで必要となるものは揃っていますので、これまで使用していたWordやExcel、PowerPointといったソフトがなくても資料を作成することができます。
また、使い慣れたツールを使用したい場合は、OfficeのOne Driveにし、Microsoft365を利用することで、これまでと同じWordやExcel、PowerPointをWeb上で使用することができます。
One Driveにすることで、ファイルの保存や共有ができますので、会社でも家でもどこからでも、同じファイルにアクセスし作業することができます。
また、リモートデスクトップを予め設定しておくことで、自宅のパソコンから会社のパソコンへアクセスすることも可能になります。
このようにデータをクラウド化することにより、リモートワークが可能となるのです。
FAXデータもクラウド化
FAXでの受注などが多く出勤せざるを得ないという企業も多くあると思います。
取引先との関係でFAXでの注文が廃止できない場合などは、自社側での対応を検討してみましょう。
コロナ禍でのリモートワークの増加に伴い、FAXの電子文書化のサービスも増えています。
自社の状況を考え、最適なサービスを探してみましょう。
FAXをクラウド化すれば、パソコン一つで送受信ができるので、自宅や出先でFAXのやり取りができるようになります。
そのため、FAX機の設置されているオフィスへの出勤にしばられる必要がなくなります。
発注書や請求書などをFAXで受け取り、その情報を基幹システムに手入力している場合は大きく時間がとられているでしょう。
ここで、FAX受信サービスを用いると、受信したFAXをそのままOCRで読み取ってデータに変換し、そのデータを基幹システムに連携して入力、とすることができます。
そうなると、手作業が一気になくなるので業務の効率化が大きく進みます。
また、受信したFAXを特定の箇所に格納する場合は、受信したFAXをPDFなどのデータに変換して、適切なフォルダや場所に保管されるので、整理するための作業や帳票が必要な場合の検索・探索の手間が減ります。
電子データ化するサービスはいくつかありますが、FAX文書を自動でデータ化し、GoogleドライブやDropBoxなどにクラウド保存してくれますので、どこからでも文書を確認することが可能となります。
また、手書き文字をテキストデータ化できるツールやサービスもありますので、これまでのFAXでの発注書を打ち直すといった手間がなくなります。
自社の仕事状況を見直し、働きやすい環境を作る
いずれにしても、まずは会社での仕事の状況を考え、どの部分をテレワークで行うことができるか考えてみましょう。
業務の全てをいきなりテレワークにするのではなく、抱えている業務の中で、この部分はテレワークで行える、この部分は対面でなくては難しいなど、仕分けすることで、従業員にとって働きやすい環境を整備することが可能となります。
自社だけで考えるのが難しい場合は、専門家に相談してみてもいいでしょう。
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