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執筆者の写真ITO OP

災害時のトイレ問題

災害時に困ることのNo.1はトイレの問題です。大規模地震などの災害時には、水洗トイレが使用できなくなります。断水や停電だけではなく、建物内の排水設備が故障する場合や、 建物からの下水管路または汚水処理施設が故障する場合もあります。

 

マンションやオフィスビルなどで、排水設備が損傷していることに気づかずに、水洗トイレを使い続けると、汚水が溢れたり、逆流して大変なことになります。

排水管の破断や漏水などは、専門業者に排水設備の診断をお願いすることになりますが、大規模災害時に業者がすぐに来てくれるとは限りません。

そのため、災害時には携帯トイレなどを使用することになります。自治体などでも携帯トイレを、一日一人5回の排泄として、最低3日~1週間分は備蓄しておきましょうとしています。また、手洗いなどができない環境では感染症が流行しやすくなります。ウェットティッシュや手指の除菌剤も備蓄しておいた方がいいでしょう。マンションやテナントビルであれば、入居者や管理会社との間で適切な量の備蓄を検討しておきましょう。



トイレの備蓄は必須 

水洗トイレが使用できない状況では、発災から数日もたたないうちにトイレが排泄物の山になり、劣悪な衛生状態となります。衛生状態が悪化すると感染症の発生にもつながります。

成人の1回の排尿量は200~400mL(コップ1杯分)、1日の排尿回数は5~7回です。

携帯トイレなどで排泄したとしても、100人の3日間の滞留生活で、およそ450kgものトイレゴミが排出されます。(1回分300mL × 1日5回 × 3日 × 100人=450kgとして計算した場合)

その量は膨大なものとなりますので、し尿用の汚物の置き場所の確保も必要となります。

 

自治体によって汚物の回収方法は異なりますが、大災害の後に回収がすぐに行われるとは思えません。東日本大震災では、発生から4日後から家庭ゴミ・し尿ゴミの収集が一部再開されましたが、事業ゴミについては再開までに2ヶ月以上かかりました。

食事などは我慢できても、排泄は我慢できません。過去の災害では、トイレが不衛生なために使用をためらい、排泄を我慢するために、水分や食品摂取を控た方も多くいたようです。そのため栄養状態の悪化や脱水症状、エコノミークラス症候群等の健康障害を引き起こす例もありました。

それでは、災害時のトイレにはどのようなものがあるのでしょうか?

 

災害時のトイレの種類 

<携帯トイレ>

携帯トイレとは、吸水シートや凝固剤で水分を安定させる便袋タイプのものです。便座はなく、凝固剤と袋がセットになっています。災害時の断水や排水ができなくなった洋式便器等に設置して使用することができます。携帯トイレは様々なメーカーから出ていますが、防臭効果や使いやすさ、処理のしやすさなども考えて選ぶといいでしょう。


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マイレットは水がなくてもスグつかえる緊急災害用簡易トイレセットです。既存のトイレで使用可能で、10年の長期保存が可能です。


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<簡易トイレ>

簡易トイレは、持ち運び可能な便座のある小型のトイレです。簡易的な便器・便座、し尿を貯める部分がセットになっています。し尿は便袋をセットして凝固剤で固めるなどの方法で処理します。

こちらのラップポンはセットした袋を熱で圧着できるため、排泄物に触れることなく衛生的に処理できます。


 

<仮設トイレ>

建設現場やイベント等のトイレとして開発されたトイレです。元々トイレのない場所に一時的に設置できるものです。ボックスタイプと組み立て型があり、下水道のすぐ上に設置して流せる水洗タイプのものや汲み取り式、障害者対応のものなどがあります。購入だけではなくレンタルもありますので、予算や用途、設置場所に合わせて選択可能です。ただし備蓄が難しいため、設置までに時間がかかる可能性があります。

 

<マンホールトイレ>

下水道管路にあるマンホールの上に簡易な便座やパネル・テントなどを設置することで、災害時には迅速にトイレ機能を確保できます。マンホールトイレは全国で約4万2千基が設置されています(令和3年度末時点)。また、し尿を下水道管路に直接流すことができるため衛生的です。

災害時の備蓄として、水や食料などを備蓄している方は大勢いらっしゃるでしょう。けれど、それらと並んでトイレの備蓄は重要です。過去の災害時には、仮設トイレの設置までに時間がかかりました。さらに、新型コロナウイルスなど感染症の恐れがある場合、トイレの問題は深刻です。家庭でもオフィスでも人数に合わせてトイレの備蓄は必須です。

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